School
「好き」と私
学校は行く。
教室に行くかは別。
授業の準備だけはしておこう。
体育があるんだ。体操服をカバンに積めた。
父親を起こさないように、そっと家を出る。
道路に出ると、バイクが目の前を通りすぎた。
バス停まで歩いて行く。
「気づかなかったか?」
「わっ」
びっくりして声が裏返った。
振り向くとヘルメットを外した先生。
「せっ…先生」
何故か涙が溢れてきた。
「泣くと不細工だぞ」
手で顔を覆って駅に向かう。
「制服着て恥ずかしいことするな…」
そっと肩を叩こうとする手を振り払った。
フラッシュバックで父親と姿が被った。
「佐伯…」
走って、走って、駅に向かう。