School

紙と私


「美月、一緒に帰ろ」

ベタベタしてくる竹田。

先生に何てメールしようか、連絡先を眺めていた私。

「一人で帰る」

「…その紙何?」

覗き込んできたので隠すように避ける。

「え…あ、返して!」

パッと私の手からひったくったと思うと窓の外に投げ捨てた。

「男のアドレスだろ?」

「サイッテー!」

「俺のアドレス無視しただろ」

「あんたなんか大っ嫌い」

パタパタと紙の落ちた方に走っていく。

アドレスも電話番号も覚えてる。

だけど。

先生からもらった物だから…大切にしたかった。

草の生い茂った場所に落ちたようで、必死に探す。

「みっきー、何してんの?」

楓は掃除で窓から見えた私の所に来たんだと思う。

「楓っ…」

泣きそうになった。

「ちょっ…竹田は立ち尽くしてたし」

「先生からもらった紙…捨てられた」

「竹田が?」

「うん…」

小さく頷くと楓も一緒に探してくれた。

「今のうちにメールの内容考えたら?」

「うん…」

草の根を掻き分ける。

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