School
「佐伯美月です…でいいかな」

「返事しにくっ」

クルッと振り向いた。

「返事してもらわなくても…」

相談にのる、話を聞くだけだから。

「少なくともみっきーは、他の生徒とは意識が違うんだよ?」

「悪い意味でね」

「なら、もっと印象付けて…ね?」

「うーん、今日の朝家に来てもらった事とか?」

「そう、それだよ」

草を引っこ抜いて遠くに投げた。

「地図を見て行くのが、すっごく下手で
方向音痴の颯が行ったんだから!」

方向音痴なのか。

なんだか、かわいいや。

その先生の手を私は…

「前田楓」

「はっ…颯」

「何めちゃくちゃな事言ってんだ」

「だって方向音痴じゃん」

ケロッと答える楓にたじたじの先生。

「で、何してんだ」

「美月が…ね?」

ニッと意地悪そうに笑う楓に苦笑いしかできない。

「先生から貰った紙落としちゃって…」

「そんなもん探してんの?」

「う…うん」

「もう一枚やるからついて来い」

「う…はい」

「私は帰る」

ギョッとして楓を見た。

「お前も来い」

< 31 / 40 >

この作品をシェア

pagetop