School

「行く当てあるの?」

「………」

「ならとっておきの所があるよ」

大人しく楓についていった。

着いた先は理科室。

学校の見学会か何かで一度だけ来た。

「颯の管轄で貸してくれるよ」

「颯って先生呼び捨て?」

「癖っていうか…早く食べよ」

焦ったように弁当を開いていた。

「ねぇ…さっきの二人いいの?」

関わる気は更々ないから聞くつもりはなかったのに、気になる自分もいた。

「蘭と西宮君はしょっちゅうだから」

「しょっちゅう…喫煙してんの?」

「それは知らないけどサボってるよ」

「………」

「美月はあの二人とは違う理由でサボってると思った」

「どうして?」

サボりは所詮サボり。

「何かに恐れてるような眼してるから…」

楓の言葉にドキリとした。

「恐れるもんなんか…」

「そうだよね…ごめん」

謝るのは私の方。

赤の他人だと言っても「嘘」だから。

どう見られてるか、どう思われてるか。

陰口叩かれてるんじゃないか不安だ。

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