Contrast
 どうしよう。


 突発的すぎて、自分もまだなんだかわからない。


 ここは倉庫のようだ。軽くへこんだ段ボールには、表紙が破れたり汚れている本がたくさん詰まっている。


 部屋の奥には太陽の光が差し込んでいて、私は不安よりも新たな発見に興味がそれてしまった。


 暖かそう。休み時間はここにいようかな。誰もいなさそうだし。


 念のため、私はその奥を覗き込んでみた。


 そこには気持ちよさそうに眠る、一人の男子生徒の姿。


 背中を古びた本棚に預けた状態で、すらりと伸びた手足は床に投げ出されている。寝顔からみるに、随分心地良さそうだ。


 完璧に私はパニック状態になっていた。


 こんなところに人がいるなんて、誰が予想しえただろうか。


 慌てて帰ろうとした私は、勢いよく段ボール箱に足をぶつけてしまった。


「痛っ!」


「ん・・・」


 しまった、と思うが時すでに遅し。男子生徒は大きなあくびと共に伸びをすると、寝ぼけ眼で私を見つめた。


「あああの、すみません!今出て行きますんで――」

「じゃあついでに窓開けてくれない?」


はい?
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