新撰組の姫君 〜もしもの世界・斎藤一編〜
眼下に広がるのは珍しくもない光景だ。が、この道場でこの光景を見るのは2回目だ

血溜まりとそこに沈む人。

「…生存確認を」

そう声をかけると2人の隊士が動く。

「こちら既に息絶えています」

「…そうか」

「隊長。こちら微かながら呼吸が有ります。どうしますか?」

「…止血して運ぶ」

「了解しました」

男のほうは息絶えているが女のほうはまだ生きている。

屯所に運べばなんとかなるだろう。

「止血終わりました。」

「…俺が運ぼう。後は任せた」

止血が終わった女を抱え皆に声をかける。

…早く戻った方が良さそうだな。

そう判断し、屯所に向かい足を進める。

助かれば良い。

俺らしくない、そんなことを考えながら。
< 5 / 91 >

この作品をシェア

pagetop