新撰組の姫君 〜もしもの世界・斎藤一編〜
そこであったこと。
ー総司Sideー

つい我を忘れてしまった。

だけど、許せなかったのだ。

あの隊士たちの言葉が。

土方さんから何があったのか聞かれているけど、正直あったことを口にするのさえ腹がたつ。

「総司、お前は理由なく暴れるような奴じゃない。それはよく知ってる。だが、話をしないと隊士たちに処分を下せん。何があったか吐け。」

珍しく諭すように土方さんが話してくる。でも、ほんとに腹が立っているのだ。

「はぁ、誰かの悪口でも言われたのか?」

ピクリと体が反応する。

「…当たり、か。」

こんな時だけ勘の良い土方さんに腹がたつ。

「誰のだ。」

「自分のことを言われたんですよ。」

「嘘だな。お前は自分のことを言われて腹をたてるような奴じゃねぇ。」

…本当に腹がたつ。

「…十六夜か?」

ピクリ、再度だ。素直に反応する体に腹がたつ。

「そうか。」

あぁ、バレてしまったのなら仕方あるまい。

素直に話すしか無いのか…。
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