新撰組の姫君 〜もしもの世界・斎藤一編〜
あの隊士達は、隊士に、いや、男としてあるまじき発言ばかりしていた。

家族をなくし、隊長たちが半場強制に屯所に住まわせることをきめ、

ただそれに従っているだけの奏さんが、軽い女なのか?

何もしていない、

意識して泣くことすら出来ない、

実の兄にさえすがらない彼女が軽い女なのか?

「…もっと殺っておけばよかったかな」

「総司、落ち着け。」

許せない。

苛立つ。

彼女に何か特別な感情がある訳でもない自分がここまで腹をたてるのだ。

自分では気がついていないだろうけど、

特別な感情を持っているであろう一君が聞いたらもっと大変なことに成るんじゃないだろうか。

「奏さんには言わないにしても、隊長たちにはどうするんです?」

「あれだけ派手にやったんだ。説明しざる得ないだろう。」

土方さんがバッサリという。

「一君や3人が怒るでしょうね。」

「…だろうな。」

3人は人一倍、もしくはそれ以上に感情豊かな人たちだ。

自分以上に感情に流されるだろう。

…そう思うと、見つけたのが自分でよかったのか。

「ところで、あの隊士達、何番隊です?」

「武田観柳斎さんのところだよ。」

近藤さんが答えてくれる。
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