スノードロップ



「……」





「…許さなくていいよ、君は怒っていいんだ。それだけの事をしたんだから、おれが…」




司さまはゆっくり静かにつぶやいた





心臓がうるさく脈打ってるのが聞こえた




私だろうか…それとも彼だろうか、










「私に…キスをしたのも嘘ですか」



「……半分は嘘だった…。でも…半分は嘘じゃない、君が……、」








司さまは 私から体を離した



「…司さ…」

「君がとても綺麗に見えた…から…、」








彼はじっと私を見る



「…そ、で…すか」



「これは本当だよ。…紅々…」



そっと頬に冷たい手が触れた




本当はまだあなたを疑ってる…。


うまくいくわけないと思ってる…





けれど


「……」





今だけは…




私に謝った彼は信じてみたいと思った


謝った彼の目はとても真剣だったから。



「…ばか……」





「何か言った?」





「……好きです」







司さんはまた ありがとうと笑った
< 106 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop