同居の秘密。【完】
どうしたんだろう。
少し、電話に出るのに戸惑ってしまう。
まるで家出中の中学生だ。
フゥ、と一息つき、私は電話に出た。
1人暮らしの私には久しぶりのお父さんの声だ。
『…おぅ、元気にやってるか?』
ぎこちないお父さんの声。
慣れない電話に緊張しているのだろう。
自然に笑みが溢れる。
「元気だよ。今仕事終わったの」
『…おぅ、そうか』
今わかったけど、“おぅ”がお父さんの口癖なんだと思う。
…沈黙。
「お父さん、何か用?」
『あ、おぅ。用があるんだ』