同居の秘密。【完】


「離してよ…っ!」


溢れる涙を忘れて無我夢中に抵抗した。


自分が自分じゃないみたい。


…だけど、私はここまでしても翔君と離れたくない。


…おじさんに負けたくない!


「…や…っ」


その抵抗も虚しく車の目の前まで連れて来られ、車から目を背ける。


どうして。


どうして、私達、何もしてないのに。


どうしてこんなに辛い思いをしないといけないの。


「……助けて…」


聞こえないくらいの声で、車の後部座席に押し込まれそうになったときに呟いた。


そして私は抵抗する力も使いきり、諦めようとし、目を瞑った。


一滴の涙が私の瞳から流れ落ちる。


翔君────…。


翔君の名前を心の中で唱えた瞬間、何かに引っ張られ、体制を崩した。


 
< 459 / 544 >

この作品をシェア

pagetop