大切なキミだから…
第一章

キミとの出会い

ピピピピッピピピピッ

「ん…うるさい…」
朝目覚ましの音で目が覚めた。まだ眠たい目を擦りながら起き上がる。
「寒っ…」
たく…何でこんなに寒いの?あり得ない。まぁ…いいか今日で最後だし…

そう、今日が最後…
私が生きる最後の日…
私なんて生きていても仕方ない。生きている意味なんてないんだから…

そお、あの日から…


―10年前―

私の家は母子家庭。兄弟もいなくて一人っ子だった私はお母さんが大好きだった。優しくて、何でも話せた。
なのに…
「ママっただいま!!」
…シーン…
「ママ?買い物かな?」
学校から帰宅した私は誰もいない事に気付き部屋の中に入っていった。
「あれ?何これ?」
リビングの机の上には置き手紙があった。読んでみると…

―瀬奈、ごめんね…ママ疲れちゃった。こんなママを許して下さい。探さないで下さい…本当にごめんね―
「ママ!?ママどこなの?」
私は家を飛び出して町中探した。けどママは居なかった。私は捨てられたんだ。

そう、あの日から私は変わった。誰も信じなくなり誰にも頼らずに10年間過ごしてきた。高校に行けるお金もない、あるのはママが残した借金だけ。


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