大切なキミだから…


いつものように着替えて家を出る。いく場所は決まっている。通いなれたあの橋…
あそこなら死ねる。高さも充分だし、人通りも少ない。
橋に行く途中笑顔で手を繋ぎながらこっちに歩いてくる親子がいた。
…楽しそう…あの頃の思い出が蘇った。バカみたい、あんなのすぐに壊れるんだ。

「着いた…」
歩いて15分で目的地の橋に着いた。これで最後…私の人生ろくなことなかったな…
ああ、もういいや…楽になろう。橋に足をかけて飛び降りようとしたとき…

「っ!!」

「ダメだ!!死ぬなんて絶対ダメだ!!」

いきなり足を捕まれて驚いた私は道に転んでしまった。

「痛っ~」
何なのよ!!誰よもうっ!!
私が顔をあげるとそこには高校生くらいの男がいた。
「何してんだよ!!お前バカだろ!!命無駄にしてんじゃねーよっ!!」
男はいきなり怒鳴ってきた。何なのよ…誰よこいつ!?
「あんたに関係ないでしょ!?私は死にたいの!!」

「死にたいなんて言うな!!お前は若いだろ!?」

「若いなんて関係ない!!疲れたのっ私は生きてる意味なんてないのよ!!」
そう…私は生きてる意味なんてない。誰にも必要とされない私なんか…

「バカだろお前!!ほら」
そう言って男が私に手を差しのべてきた。

「…意味わかんない」
そういいながら私は男の手を払った。男は驚いた顔をした。私は男を気に止めずに来た道を戻ろうと歩き出した。

ほんと何なのよ!?
私死に損ないじゃない!!
まぁいい、また今度にしよう。
そして私は家に向かってもう一度歩き始めた。



ねぇ?
キミがあの時私を止めてくれてなかったら…
私は死んでたかもしれない…

私が死のうとしている事キミは気付いていたのかな?




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