15歳のラビリンス
近藤さんはチラッと私を見たものの、特に気にした様子もなく通り過ぎてった。
「美織と仁哉が付き合ってた時、相当、仁哉に付きまとってたらしいよ~」
二人の後ろ姿を見ながらカンナが呟く。
私はため息をついて振り返った。
「…あの自転車、誰のだと思う?」
「…?近藤のじゃないの?」
私の質問に不思議そうな顔をしたカンナが即答した。
何度も何度も乗せてもらった自転車を私が見間違えるわけがない。
静かに首を横に振り、私は悲しそうにつぶやいた。
「…あれは、ジンの自転車だよ…」