15歳のラビリンス
「…何?」
脱いだ上履きを自分の下駄箱に入れて聞く私。
下校する人で騒がしい昇降口。
その人達の邪魔にならないよう、私とサトルは端に寄った。
「…お前、まだ河村の事、好きなのか?」
「…っ!」
サトルにだけは聞かれたくなかった。
思わず息を飲んでしまった私。
「そ、そんな事、サトルに関係ないでしょ?!」
「前にも言ったよな?河村に近づくなって」
「うん、言われた。でもサトルの言う事を聞かなきゃいけない義務はない」
言われたからって守らなくちゃいけない決まりはどこにもない。
私が言い返すと、サトルはムッとしたような表情になる。