15歳のラビリンス
「私ね、貴昭といてわかったんだ。…将来も確かに大事だし、今頑張っておけば後が楽な未来があるのかもしれない」
「うん…」
「でも、今って今しかない。頑張らなきゃいけない時期だっていうのはわかってるけど、私は後悔しないように今を生きていたい。あの時、もっとこうしておけばよかったって後悔だけはしたくないんだ」
今って今しかない。
彩乃の気持ちは私も同じだ。
「彩乃、私も同じだよ」
「そうだね。でも、美織はもう少し自分の道をはっきり決めたほうがいいよ。決めないから自由を制限されちゃうんだよ?仁哉との事だってそう。美織がちゃんとしてたら、誰にも文句言われなくて済んだのに」
耳が痛くなる事を彩乃は言った。
私が椅子に座ると、なぜか彩乃はクスッと笑う。
不思議に思って顔を上げる私。
「…15歳って巨大迷路みたいに思えない?」
巨大迷路?
一体何を言い出すんだ?