『好き』の二文字だけで
あぁー。

体育がだるくてしょうがなくて
アタシは

ジャージ袋をぐるんぐるん
回しながら

教室に入った。

「松田ー!」
「なに?」
「これ。みて」

みると
水着の女性のエロ本が
ドーンと目の前にだされた。

「な、なにいきなりッッ!」
「すげーべ(笑)
昨日みんなで勇気だして
コンビニでかったんだ(笑)」

「ぶッッ(笑)ばかじゃん」

笑いながら
席についた。

リュックのなかをゴソゴソと
あさりながら

ペンケースと
1時間目の授業のために
理科の教科書をだした。

あ。

2時間目は
体育で移動。

平林に会うかも。。。

そんなことを考えたら
1時間目も憂鬱で仕方なかった。
でも時間がすぎるのは
早くて、

あっというまに
2時間目。

体育館シューズをもって
みかげと体育館にむかった。

予感は的中。

美術から教室にもどろうとしてた
平林にばったり

アタシは顔が急に熱くなった。

「みかげ!い、いそごぅ」

あわてたふりして
平林からにげた。

自分はいまなにしてんだろ。

ばかじゃないの。

心のなかでは
そう思ってるけど

現実はそう
甘くはない。

自分の体が
自由自在にいかないのも

現実に生きているからだと
思う。

現実にいきてるから
こうたとも
一緒になれないんだと


アタシは

口実をうまくつけ

自分を落ち着かせた。

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