溺れていく
出席簿の名前を呼ぶあんたの声は、
優しい声だと思った、

名前と生徒の顔を確認する瞳は、
綺麗な瞳だと思った、


その声で、その瞳で、
俺の存在を確かめるのかと思うと、
俺の心臓は激しく動いた、

『渡辺…仁くん。』


自分の名前を呼ばれた時、
体の中から鳥肌が立った、

窓際の一番後ろの席、
俺はここにいる、

そんな事を思った、

けど、
真っすぐ俺を見る瞳に、
俺はあんたと目を合わせれなかった、





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