溺れていく
『ねぇ、渡辺くん、あなただけ進路希望出てないの。』


『そうだね。』


『すぐ決める必要はないわ。ゆっくり考えたらいいのよ。ただ、一つだけ教えてくれる?』


『何?』


『私の授業の提出物だけ出してないのはなぜ?』


『気になる?』


『他の先生に聞いたんだけど…他の教科はそんな事ないみたいね。』


『そうだね。』


『このままいけば、夏休み補習よ。英語は嫌い?』


『嫌いじゃない。』


『私の教え方が悪いのかしら?』


『あんたの授業はすごい解りやすいよ。』


『じゃぁ、どうして?』


『…わからない?』


『えぇ、だから聞いているの。』


『…俺は夏休み無くても別にいい。あんたと二人で補習受けるよ。』


『渡辺くん…』


『約束があるから、さようなら。』


初めて、
二人だけで話した教室、

帰り道、
オレンジ色になった空を見上げながら、
俺は、
あんたを想った、





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