永久の贄[BL]
その後は胸が痛むような事もなく。

寝そべって海理達が着替えと一緒に持ってきた本を読みながら、適当に時間を潰していた。

陽が沈みかけた頃に雪や月花が夕飯を一緒に食べたいと言うから二人揃ってやってきて、

部屋がまた少し賑やかになる。完全な夜が来た頃には海理も帰ってきて、

一人でふてくされて夕飯を食って。珍しく口元にご飯が付いていたから取ってやると、

赤面しながら“ふざけるな”と悪態を吐いてきて。なんだろう、これ。

呪いのせいで痛むのとはまた違った胸の痛みが刺すのは。やっぱり夢じゃない。

この今起こっている出来事が怖いくらいに穏やか過ぎるのは。

気を使わせ過ぎているんじゃないのかと思ってしまう。
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