永久の贄[BL]
「走るぞ。付いて来れなかったら置いて行く」
「お言葉ですが、海理様。僕は何の血が流れているとお思いで?」
笑いながらまるで“見くびるな”と言わんばかりの雪の問い掛けに、答える時間もまた惜しい。
答えぬまま走り出す。半分の九里(約三十五.一キロメートル)走った所で、今日は休む事にする。
本当ならばもう半分も走り切れるが、雪も少し疲労の色が見えている。それに満月は明日だ。
焦っても仕方がない。陽は完全に沈み、空にはほぼ満ちた色白の月が昇っていた。
体力だけは温存しなければならない。流石の雪でも体力がなければただの役立たずだ。
雪はそれでも無茶をしようとしていたが、それをオレは許さなかった。
「哉からの伝達がない所を見る限り、まだ村の連中は付近には居ないようですね」
渋々とこの先へ進む事を諦めてくれた雪は空を見上げてポツリと呟く。
オレもつられて見上げたが、確かに哉の姿はなかった。
この辺りにいる事だけは確実だろうが。
一体何処の樹に止まっている、もしくはどの辺りを飛び回っているのだろう。
「お言葉ですが、海理様。僕は何の血が流れているとお思いで?」
笑いながらまるで“見くびるな”と言わんばかりの雪の問い掛けに、答える時間もまた惜しい。
答えぬまま走り出す。半分の九里(約三十五.一キロメートル)走った所で、今日は休む事にする。
本当ならばもう半分も走り切れるが、雪も少し疲労の色が見えている。それに満月は明日だ。
焦っても仕方がない。陽は完全に沈み、空にはほぼ満ちた色白の月が昇っていた。
体力だけは温存しなければならない。流石の雪でも体力がなければただの役立たずだ。
雪はそれでも無茶をしようとしていたが、それをオレは許さなかった。
「哉からの伝達がない所を見る限り、まだ村の連中は付近には居ないようですね」
渋々とこの先へ進む事を諦めてくれた雪は空を見上げてポツリと呟く。
オレもつられて見上げたが、確かに哉の姿はなかった。
この辺りにいる事だけは確実だろうが。
一体何処の樹に止まっている、もしくはどの辺りを飛び回っているのだろう。