永久の贄[BL]
「んっ……」

「なんだ、目を覚ましたのか。眠っていても良い物を」


まだそんなに眠りについてから時間は経っていないはず。部屋は真っ暗なままだし。

それなのに人の気配を感じた。真っ先に視界に入ったのは天井ではなく……。


「海、理……。帰っていたのか……」


海理が俺に覆いかぶさるようにしてそこにいた。

やはり宴会だったからだろうか、少し酒のにおいがする。

起き上がろうにも起き上がれない。だからこの体勢を俺は維持しなければならなかった。


「お前、何しに……」


海理が何も言わないから不安になって、俺から思わず話しかけた。

すると海理はふっと笑みを浮かべて言葉を紡いだ。

暗がりでも海理の綺麗に整った顔立ちは、はっきりと分かる。
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