すみれの花


ガチャン

すみれは家の門をあけた。

「ただいま~」

「「お帰りなさいませ。」」


「すみれお嬢様っ!」

いつも私を送り迎えしてくれる執事さんが
すごい形相で駆け寄ってきた。

「どこに行かれてたのです!わたくしは心配で心配で…!」

「…ごめんなさい。」

「でもご無事で本当に良かった!」
相当心配をかけていたらしい…。


「あっ執事さん、明日から、送り迎えしなくて大丈夫! 歩いて学校行くことにしたから!」

「えっでも…すみれお嬢様の安全を守らなければ…」

たしかに、
一人で歩くのはすみれにとって危険がつきものだ、
と今日改めて実感した。
…でも…


「大丈夫。私にも、守ってくれるヒト、できたから。」


執事さんは一瞬訳わからなそうに驚いたけど、
すぐに意味を理解したのか、

うっすら涙まで浮かべて
「かしこまりました」
とにこやかに笑った。



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