すみれの花
*すみれ専用執事*
お生まれになった時からずっと面倒をみてきた、すみれお嬢様。
幼い時から可愛らしく、美人の風格があったお嬢様は、
今では素敵な女性へと成長された。
ずっとそばで見守ってきた分、
もはや半分親のような気持ちさえも抱いている。
だから成長のはやさに少し寂しさまで覚えてしまっているのだ。
でもそんなわたしにも気がかりな事があった。
…すみれお嬢様は笑わない。
もちろん、いつもニコニコしている。
でも、その笑顔はどこか作りものっぽくて
人間味がない。
ずっと近くにいるからこそ、分かる事だった。
そんなお嬢様が、高校生になって少し変わった気がする。
よく頻繁に笑うようになった。
自然な笑顔を見せるようになった。
人間味をすこし取り戻した気がした。
なにか高校で刺激があったのだろうか...?
そしたら…
今日、すみれお嬢様はこの上なく幸せそうだった。
“守ってくれるヒトができたから”
っと言った。
─ああ、
すみれお嬢様にも大切な方ができたのですね。
親気分のわたくしからして、
嬉しいような、寂しいような。
そんな複雑な気持ちになった。
でも…
これだけは言える。
すみれお嬢様の大切な方。
すみれお嬢様を変えてくださり、ありがとう。
すみれお嬢様は気がついておられないだろうけど、あなたのおかげで
彼女、とっても幸せそう。