宿題するから利用して
「……。」
一方、残念なことに大塚という人間は田上結衣を構成する項目の何にも影響力を持っていなくて、特に恋愛感情など絶対に無駄なのだ。
例えば俺がショートカットを好きだとしても彼女は俺に気に入られようとイメチェンをしないし、
例えば俺が海外のお土産をプレゼントしたとしても彼女はそこに俺と行きたいとは思ってくれないし、
例えば俺が宿題を見せてあげたとしても彼女は俺と話す口実に忘れたふりをしてくれない、
それらが持つ影響力こそ本当のコミュニケーションだと思う。
上っ面の関係ではなく深い部分からくる人との繋がりが、俺とあの子にはなくてあいつとあの子にはある。
二人が羨ましい分、二人が憎たらしい。
そんな第三者の恋は毎日ときめく分、毎日嫉妬してちっとも美しくはなかった。