宿題するから利用して
『歯科衛生士? かなんかの専門の女子って可愛くね? 俺ん姉ちゃんツレ可愛い子ばぁよ』
『保母さん夢見る短大生とか付き合いてぇ』
馬鹿みたいな会話の中、先生たちが名誉アップ目的で東京の大学を一番受けてほしいと懇願しているであろう市井雅が、
家族は頭の良い大学に十割行ってほしそうだけれど、今のところ十割で就職しないと卒業できないと言っていたのは意味がよく分からなかったし、
近藤洋平も中学生にとって難関だと有名なマドカ高校の服飾コースに受かっている癖に、
デザイン系専門や美大ではなく、経済学部がある四大かもしれないと言っていたのも謎で、
俺は二人の進路に興味がわき、もっと詳しく聞きたかったが、そういう真剣に未来を語り合う堅い空気とは違ったから質問できなかった。
違う。あいつがどこを受験するかより、再来年の春さえあいつがあの子と一緒に今を築くと思えば憂鬱になり、
近藤洋平が未来の話をするイコール田上結衣との歴史と化すので、耳にすることが耐えられなかったからだ。
そこで今でも覚えているあの場面になる。
『田上って――……』