宿題するから利用して


大好きな田上結衣が喜んでくれるならば、俺はなんだってする。

それは教室の世界にある愛という意味で、制服を着ている時にしか存在しない呪文だ。


「待って小崎さん!、あの、俺――……」


振り返るなり甘く微笑む小崎里緒菜。



小崎里緒菜しかいない。
小崎里緒菜なら適任だ。

この魔法なら田上結衣が大塚という存在に喜んでくれる。


そう、男友達としてもクラスメートとしても受け入れてくれなかったが、

親友の親友としてなら?



今のまま卒業したなら、その他大勢キャラなしの俺は忘れられてしまう存在――――だから田上結衣。

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