宿題するから利用して

「てか鼻血くらいで保健室行くとかアホじゃん、構ってちゃんですね」と彼女が笑い、

同じく彼氏も「はー? 心配しろよ乙女に」と笑う。

ああ、大塚というクラスメートの存在を忘れ、カップルらしい会話のやりとりをする二人の関係が羨ましい。


もしも俺が近藤洋平なら、田上結衣の視線を独占できるとびきりな幸せを毎日味わえる。

宿題や赤点課題、テスト範囲や予習、なんにも必要なくて、ただ傍に居るだけで満たされるなんて夢みたいだ――


けれども、お一人様専用のオートクチュールな表情を互いに作るから、

自分なんかが入る隙はなく、妄想はむなしいだけでやっぱり失恋を痛感するしかないのだ。

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