五里霧中
見慣れた景色を通り抜け、いつの間にか幼い頃暮らしていた辺りまで来てしまった。
古めかしい記憶が蘇り、束の間の懐古に浸る。
昔は母さんと手を繋いでよくこの公園に遊びに来た。
あぁ、ここは父さんと来たスーパーだ。
この駐車場では友達とボールを追いかけたし、そこの畑で農家のおじさんの手伝いをしたこともある。
全部、『思い出』になってしまったけど。
あの頃のボクはとても幸せで、まさか自分がゆくゆく捨てられる運命にあるなんて考えたこともなかった。
母さんも父さんもボクも。
いつまでも幸せでいられると信じていたんだ。