五里霧中



どこか媚びるような声色になってしまったのは気色悪いけど、おじさんが喜ぶような嗜好になったんじゃないかな。


その証拠に、おじさんは動き出していた。



ボクの髪を鷲掴みにして地面に叩きつける。


荒ぶる感情を抑えようともしていないようで、その鼻息はいつもの三割増しだ。



「殺してほしい?じゃあこんな目立つところじゃあダメだなぁ!もっと山奥でたくさん虐げてから殺してやろうか!」


獣の咆哮のような男の声に、思わず冷たい汗が流れる。


自分は死にたいはずなのに……


心のどこかで自らの感情を否定している。


ボクは死にたくない、生きてたい。


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