五里霧中



最初のうちこそ少し警戒していたクロだったが、すぐに馴染んだようだ。


「今日の当番は僕なんだけど、夕飯は何がいいかな?」


「それを考えるのが君の仕事だろう。でもまあ、クロも鬼ではない。アドバイスくらいならしてやらないこともないぞ」



この通り。


いつの間にやら傲慢で強気な我が家のお姫様だ。


だけど僕がそれを不快に思うことはないし、むしろ嬉しく思う。


安心しきった横顔を見るたびに何か暖かいものがじわじわと胸を浸すのだ。


できればあんな威嚇するような表情は二度と見たくないな。


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