五里霧中



黒く美しい長い髪。


気の強そうな黒目がちの猫目。


そして極めつけはその華奢な体躯。


まさに黒猫を擬人化させたみたいな少女。


だから名前はすぐに決まった。



「クロ、君の名前はクロにするよ」



クロの頭を優しく撫でながら言うと、彼女はくすぐったそうに目を細めた。


今思うと、それが初めてみたクロの笑顔だったのかもしれない。



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