五里霧中


《殺人者の話し》


またこの夢だ。


遠き日に別れた妹の夢。


彼女はきっと幸せになったはず……


それなのにこの胸騒ぎはなんだろう。


今まで一度だって消えたことはない不安。


もう何も心配することはないはずなのに……



オレは流れる冷や汗を拭い、シャツを脱ぎ捨てた。


夏休みの朝特有の気だるい空気に辟易する。


しばらくぼーっと妹のことを考えて、一階に下りた。



< 192 / 351 >

この作品をシェア

pagetop