五里霧中



「……おはようございます」


消え入りそうな声で挨拶する。


そんな蚊の鳴くような声でさえ気がついたのか、伯父さんと伯母さんが柔らかく微笑んで「おはよう」と返す。


こんな幸せな中で生活できているのに、どうして毎日あんな不吉な夢を見るんだろう。


欲求不満なのか、だとしたら最低だ。



「今からお昼の支度しようと思ってるんだけど、朝ごはんそれでいいかしら?」


「……はい、すいません」


伯母さんの言葉に答えてから、何となくテレビをつける。


箱の中では忙しげにアナウンサーが口を動かしている。



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