五里霧中



自分によく似た赤っぽい髪。


夏に似つかわしくない、抜けるように白い肌。


そして射るように鋭いその視線。


そのすべてがオレと一致している。


だって彼女は、オレの双子の妹だから。



「……大丈夫?またいじめられたの?」


「……あんたには関係ない。私は、簡単に逃げ出したりしない」


何かから自分を守るように肩を抱き、彼女は声を震わせる。


まるで大きな影に怯える子猫だ。


オレだけは信用していいはずなのに……ここまで人間不信に陥ってるとは。


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