五里霧中
「コロシテヤル、コロシテヤル、殺してやるぅぅぁあああぁぁあぁ!!」
突然咆哮したかと思うと、そのまま首に掴みかかってきた。
髪をふりみだした『母親』の姿は、さながら鬼のようだった。
「やッ……っめて」
喉が跳ね上がる。
詰まったような奇妙な声しか出てこない。
必死に足をばたつけせるが、気にしていられないらしくアイツの力はさらに強くなっていく。
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね」
呪詛のように呟く母親を視界の端に捉えながらも、私の脳は別のことを考えていた。