五里霧中



私は今母親に殺されている。


意識も遠くなってきたし、アイツが我に返る前には死んでしまうだろう。


ずっと望んでいたことだ。



“屋根までとんで 壊れて消えた”



まさに今じゃないか。


私は愛された記憶もないままに、この世界から消える。


母親に壊されて、消えるんだ。


嬉しい。とても喜ばしいことだ。


頭ではわかってる。それなのにどうして……



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