五里霧中



「……ごめん、寝てていいよ」


「……カイン」


カイルの柔らかい声がオレの耳をくすぐる。


何?と耳元で囁くと、カイルは嬉しそうに笑って言った。



「……私ね、もう怖くないよ」


「………そっか」


声を出すのに思ったよりも時間がかかってしまった。


不審に思ったかな。


だけどそれは杞憂だったらしく、カイルはまた安らかに寝息を立て始める。



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