五里霧中
「10秒以内に決めて。
レイが大人になりたいなら、隠し持ってるナイフで私を殺して。
私と一緒に大人にならないなら、私に撃たれて死んで」
夏に近所の中華屋に行って、冷やし中華か冷やしつけ麺かどちらかを選ぶに等しい難問だ。
つまり保身してレイを殺すか、約束を守ってレイに殺されるかだろ?
うあー、君のよくそんなことを考えるね。
愛の力って恐ろしい。
でも、あの日僕は冷やし中華も冷やしつけ麺も選ばなかったんだ。
いつも通り、ラーメンを選んだから。
暑苦しい猛暑日でも食べたくなるほどに、そのラーメンは絶品だったんだよ。