五里霧中



僕が起きたことに気付き、刑事はふっと口元を緩めた。


「気がついたか。レイ君」


その言葉にハッとする。


どうして自分の名前を……



「君は覚えていないだろうが、私は昔君に会ったことがあるんだよ」


50代半ばくらいの男。


僕の記憶にそんなムサイ中年との思い出はない。



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