五里霧中



「6年前、ある児童養護施設の幹部が逮捕された。親のいない子供たちに売春などの行為をさせていたからだ」


「………」


「その時、施設の子供たちは警察が保護し、新しい施設に送られた。……君たち3人を抜いてね」


「……僕と、リンとレイ」


「そうだ。でも、逮捕に至るまでの道のりは簡単じゃなかった。何度も施設に足を運び、子供たちの様子を観察した。その時に出会ったんだよ、キミに」


「僕は何も覚えていませんよ」


「そうだろうね。ただ、どうしてか君のことだけが忘れられなくてね。あの強烈な憎悪が、今でも頭に焼きついている」



男は静かに目をつむり、少しだけ顔を歪めた。



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