五里霧中



遠い記憶に浸りながらも、手だけは無機質に動き続ける。


……思わず感心の動きだ。


もし芋洗いロボを作るなら、僕を参考にしてほしい。


まぁ、そんなのできたところで社会に貢献できるかは疑問だけど。



「君はいつまでも何をしているんだい?」


不意に後ろから声を掛けられる。


この上から目線な口調。言わずとも誰だかわかる。


「クロ。Dと遊んでたんじゃないの?」


「Dはもう引っ込んだよ。すでにAに戻ってる」


少し寂しげに目を伏せ、クロはぼやくようにそう言った。


初めてできた友達に毎日会えないというのは寂しいものなんだろう。


僕には経験がないから理解しがたいけど。


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