五里霧中
軒先に大量のさつま芋を下ろして、ふぅっと息をつく。
泥だらけの子供たちに風呂を沸かすように言ってから、僕はゆっくりと街を見下ろした。
長い坂の上にあるこの家からは街の様子がよくわかる。
だから少しでも不穏な雰囲気を感じれば、すぐに逃げることができる。
もしあいつ等がここを嗅ぎつけてきても安全ってわけだ。
やっぱりあの人を頼ってよかった。
施設から逃げ出してきた僕らにこの家を紹介してくれたのは、他でもない東さんだ。
身寄りもお金もない僕とリンは初めこそ警戒していたが、だんだんと彼の人柄がわかってくるうちにその警戒心も解けた。
大体、あの人バカだからさ。