五里霧中



新たに生まれては消えていく無数の思考を全て切り捨て、僕は腰を上げた。


長い間座っていたためか体が軋む。


歳だなぁ、なんて言ってみたり。



「あー……あと2年かぁ」


溶けてしまいそうなほどドロドロの太陽の下で、静かにそう独りごちる。


あと2年で僕は大人になってしまう。


長いようであっという間に過ぎていくんだろう。


中学校、高校の三年間が一瞬のことのように過ぎ去るらしいから。


毎日怠惰に生きている僕にとっての2年なんて、振り返る間もないくらい早いはず。



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