夢見屋


「ここは夢見屋です」


「ゆめ…み、や…?」


金髪が口にした聞き慣れない名前に自然と眉がよる。



「ここは貴方の見たい夢を提供する場所。楽しい時間をお過ごし下さい」


夢を提供……?


「いや、俺別に見たい夢とか無いけど…」


「そう思っているだけです。この店は見たい夢がある人にしか見つけることは出来ません」


「でも、ここ喫茶ジョーダンじゃ…」


「もちろん他の人には喫茶ジョーダンでしかありません。今も営業中ですし店長も陽気に鼻唄を歌いながら珈琲を淹れています」


「な、んだそれ…」


俺にだけ見えるってこと…?
だいたい、俺が見たい夢ってなんだ?




「考えなくても大丈夫ですよ?」


「えっ?」


「心の底から望んでいる夢なので、考えても分かりません」


「へー…?」

なんだかイマイチ現実味がない話だな。


「あ、信じてないですね?」


「そりゃーまぁ…」


「ほんとなんですからね!」


そう言って頬を膨らませるそいつは美しいというよりは可愛くて、なんだか一気に親近感が湧いた。






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