月夜に舞う桜華



初めのイメージからだんだんと崩れていく。
ただの喧嘩バカじゃないの?
どれが彰真なのか、わからなくなってきた。


「結構自信あったんだけど」

「………何が」

「椿怒らせるの」


怒らせるのに自信があるの?


「まだ続きあるんだよ」

「続き……?」

「俺としては一番の有力、だな」


ドクンと心臓が不自然な鼓動を始める。
ただ意地の悪い笑みを浮かべているだけだのに、どうして緊張するの。


彰真は、ゆっくりとあたしの回りを歩き出した。


「皇蘭元総長、皇蘭を創った人物がたったの三年で止めた理由は何か?」


ドクン、ドクン。


緊張する必要はない。
だってあれは和以外に知る人間はいない。あたし達しか。


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