月夜に舞う桜華



「………一体、どうしたんだよ」


雷心は、和がこんなにも心乱れ、荒れ狂っている様子を見るのは初めてだった。
この皇蘭に入ってから一年、しかめっ面が多いが和が乱れることは一度もなかったのだ。


「………桜姫が、生きてるのは、本当か?」

「あぁ、確認した。」

「雅龍と?」

「それ以外に四人」


チッと和は舌打ちをする。
雅龍、今力をつけてきている奴ら。皇蘭に負けないくらいそのチームは強い。


それ以外の四人………。
和の脳裏にかつての仲間の幹部の顔が流れていく。
桜姫が死んだと知り、すぐに皇蘭をやめた奴等。上位戦力がいなくなり、一時期は大変だったことを覚えている。


「………」

「和、お前、」

「雷心」


和は、きつく握りこぶしをしながら雷心を見上げた。
その瞳は憎悪と殺意に燃えていて、雷心は息を飲む。


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