月夜に舞う桜華



更にあたしを隠すように雅紀、潤、智樹が周りを囲む。


「迷惑、だ?」

「そういってんだ。迷惑なんだよ」

「………」


朔夜と司、二人は無言で睨み合う。
三人の壁の隙間から様子を伺い小さくため息をつく。


(…………はぁ、)


何か疲れるな、と思っていると、ひょいっと後ろから脇に手が伸びてきてあたしを抱えあげる。


「なーにしてるの?」

「雷杜……?」

「ってめ!」


あたしを抱えあげたのは金髪の雷杜だった。滅多に会うことがない彼だが、会ったら会ったでその時間はほとんど話をする間柄だ。


雷杜に捕獲されたあたしに三人が取り返そうとしてくる。
しかし、その手が届く前に、目の前に赤色が間に入ってくる。


「邪魔すんな」

「チッ」

「彰真」


彰真はチラッとあたしを見てからまた前を向く。


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