月夜に舞う桜華



そうなのだ。
二人が睨みあっているのはあたしのせい。でも、どうすればいいのかわからないのだ。
朔夜にも司達にも大事にされている。
最近は、それを痛切に感じているから更に分からなくなる。


「別に、悩む必要ないよ」

「?」


見上げれば、可愛らしい笑みをあたしに向けてくれている雷杜。
その笑顔は、何もかもお見通しだよ、と言っているような気がした。


「気にしないで、自分の思うとーりに居たら?」

「………」

「椿ちゃんの中では決まってるんでしょ?」


あたしの中では…………。


ジッと雷杜の笑顔を見つめながら頷く。そして、足を動かし目的地に向かう。


「椿」

「椿……!」


目的地。
ストンと目的地に辿り着いてから腰を下ろす。


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