月夜に舞う桜華
「………椿」
優しい声が隣から、頭を撫でられる。
それが心地よくて目を閉じる。
うん、やっぱり、………朔夜の隣が、落ち着く。
「っ、桜姫……!」
悔しげにかつての通り名を言葉にする司にあたしは目を開けた。
寂しそうな、捨てられた子犬のような瞳。
「………司、」
「なんで、そいつ……?」
皇蘭だったころ、余り周りに無頓着だった総長のあたしに、煩い副総長の和。喧嘩以外に役立たずに近かったあたし達の代わりに頑張っていたのは司だった。
それと同時にあたしのどうしようもない孤独にも気づいてくれたのも司だった。
司、潤、雅紀、智樹。
四人はいつも、あたしの側にいてくれ、いると誓ってくれた。
こうして、あたしを探して側に来てくれたのも本当は嬉しい。
でもね。